交通事故 被害者専門弁護士事務所

むくの木綜合法律事務所

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1.ムチウチ

  • 1-1 外傷性頚部症候群の概要
  • 1-2 外傷性頚部症候群の神経症状
  • 1-3 バレ・リュー症候群(及びその他の外傷性頚部症候群に付随する症状)

1-1 外傷性頚部症候群の概要

脊柱(いわゆる背骨)は合計24個の骨で構成されていますが、そのうちの上の7つの骨を頸椎といいます。この7つの頚椎では、それぞれ左右に関節包につつまれた椎間関節があり、椎間板や靱帯、筋肉などで連結されています。

追突などの交通事故受傷により、頚椎が過伸展・過屈曲状態(通常の場合を超えて伸びすぎたり、曲がりすぎたりする状態です)となり、これらの関節包、椎間板、靱帯、筋肉などの一部が引き伸ばされ、あるいは断裂して、頚椎捻挫を発症します。

脊椎とは、脊柱を構成する骨の総称で、その個々の骨を椎骨といいます。多くの椎骨が椎間板というクッションをはさんで、首からお尻までつながっています。椎骨の空洞部分を脊髄などの神経が走行しています。

頚椎は7つの椎骨が椎間板を挟んで連なっており、頚部の可動域を確保しています。上位で頭蓋骨につながっている部位を環椎、その下を軸椎と呼び、この組み合わせ部分が、最も大きな可動域を有しています。

椎間板、脊椎を縦に貫く前縦靭帯と後縦靭帯、椎間関節、筋肉などで椎骨はつながれています。椎骨の脊髄が走行する部分を椎孔といい、椎孔がトンネル状に並んでいるのを脊柱管と呼びます。脊髄から枝分かれした神経根はそれぞれの椎骨の間の椎間孔と呼ばれる部分を通過し、身体各部を支配しています。

 

外傷性頚部症候群における後遺障害のポイント

1)外傷性頚部症候群(後遺障害等級14級9号)の認定要件とは

損保料率算出機構の自賠責損害調査事務所においては、一般的に以下の要件が用いられています。

「外傷性頚部症候群に起因する症状が、神経学的検査所見や画像所見から証明することはできないが、①受傷時の状態や②治療の経過などから③連続性、一貫性が認められ、説明可能な症状であり、④単なる故意の誇張ではないと医学的に推定されるもの。」

 

この要件について検討します。

 ①軽備微な物損事故であれば、後遺障害の認定はありません。

受傷時の状態とは、受傷機転(いつ、どこで、どのように)、事故発生状況のことを意味しており、それなりの衝撃がないと後遺障害は認められないという意味です。 おおよそ物損で30万円以上の損害がある場合であれば、それだけの衝撃があったということで、この要件はクリアできることが多いものと思われます。いずれにしても、バンパーの交換程度では、後遺障害は認められにくいでしょう。

そのため、当事務所では、まず最初に物損の修理費用を確認させていただいています。もちろん、歩行者や自転車、バイクVS車の衝突については、この限りではありません。また、事故の態様によっては、他の方法で衝撃があったことが説明できる場合(ドライブレコーダーの映像解析等)には、修理金額とは関係なく認められる場合もあります。

②事故から数カ月を経過して発症したものは、事故によるものではないと判断されます。また、頚部痛、頚部の運動制限は、後遺障害に認定される症状とは言えません。

治療の経過とは、事故直後から、左右いずれかの頚部、肩、上肢~手指にかけて、重さ感、だるさ感、しびれ感の神経症状を訴えていることです。

当事務所では、事故直後からの症状を確認させていただいております。重要なことは、事故直後から、このような症状があり、また、そのことをきちんと、継続的に医師に申告していることです。

③連続性・一貫性とは、まじめにリハビリ通院していることです。真面目なリハビリ通院とは、一般的には、整形外科に対する通院が、1か月に10回程度以上であると考えられています。

整骨院で施術を受けたものは、回数には含まれません。整骨院での施術は医療類似行為であって、医師の行う治療ではないと判断されてしまうからです。

このように、連続性、一貫性とは、継続的で真面目な通院、1カ月で10回程度以上でなければなりません。どんな症状を訴えても、6か月間で30回程度の通院では、後遺障害の認定は困難です。

④賠償志向が強く、発言が過激で症状の訴えが大袈裟など、相手方の保険会社が非常識と判断した被害者の方の多くは、後遺障害非該当とされています。

 単なる故意の誇張ではないとは、被害者の常識性と信憑性です。あまりに大袈裟なことを訴える被害者の方や、常識を逸するような行為をとる被害者の方は、その被害者の方の証言内容に信用性がないとして、排除されてしまうことが多いのです。

以上の検討結果から、

「外傷性頚部症候群に起因する症状が、神経学的検査所見や画像所見などから証明することはできないとしても、痛みやしびれを生じさせるような事故受傷であり、当初から自覚症状があり、その原因を突き止めるために当初から、医師の診察・治療を受け、MRIの撮影も受けている。その後も、痛みや痺れが継続していることが通院先や通院実日数から推測ができるところから、事故から現在までを総合して考えるのであれば、これは、後遺障害として認めるべきであろう。」

と、調査事務所が判断したときには、14級9号が認定されることになります。

 当事務所では、4つの要件に対応する必要から、受傷直後からの対応を重視して取り組んでいます。被害者の方は、できるだけ早期(受傷から2カ月以内)に、MRIのCDを持参して、当事務所までご相談ください。14級9号か、12級13号か、それとも非該当か、根拠を明らかにしてご納得いただけるご説明をさせていただきます。

1-2 ​外傷性頚部症候群の神経症状

ほ乳類は、くびの長さに関係なく、7個の頚椎を有しています。つまり、キリンも人間も同じ数の頚椎なのです。例外的に、ナマケモノだけは9個の頚椎があります。そのため、ナマケモノは頭部を270°まで回転させることができるのです。

頚椎(cervical spine)は、一般的にCで表示され、場所によってC1~C7と呼んでいます。

先ほど説明したように、人間の頚椎も7つの椎体で構成されており、頭部を支える重要な役目を有しています。この点、焼き場でお骨あげのとき、「仏様ですよ?」 と最後に喪主が拾い上げるのは喉仏、C2となります。

外傷性頚部症候群の神経症状とは、左右いずれかの頚部、肩、上肢から手指にかけての痺れのことをいいます。痺れといっても、人によって、感じ方、表現の仕方がいろいろですので、「重さ感」、「だるさ感」、「軽い痛み」、「しびれ感」という症状がある場合には、これに該当しうることになります。

外傷性頚部症候群で注目すべき点は、C5/6、C6/7の神経根に限られています。脊髄から枝分かれをしたC5/6、C6/7の左右2本の神経根は、左右の上肢を支配しているからです。C5/6右神経根が圧迫を受けると、右手の親指と人差し指に、C6/7では、薬指と小指に痺れが出現するのです。

この点、レントゲンやCTは骨を見るためのもので、神経根を確認できません。神経根が確認できるのは、MRIだけです。

     左図:繊維輪が断裂して髄核が突出し、これが神経根を圧迫

     右図:繊維輪が断裂して髄核が突出(または繊維輪が突出)し、脊髄を圧迫

 

そのため、受傷後に撮影したMRIで、C5/6/7の神経根の通り道が狭まっていたり、明確に圧迫を受けていることが確認できたときは、自覚症状に一致した画像所見が得られたことになり、後遺障害の獲得に一歩、近づいたことになります。したがって、受傷後早期(2ヶ月以内)にMRIの撮影を受けていただくことが重要となります。

 

外傷性頚部症候群における後遺障害のポイント

1)MRIで注目すべきポイントは、C5/6とC6/7になります。自覚症状に一致するMRI所見が得られるのは、C5/6/7となるからです。

 

2)4つの必要十分条件

①一定程度以上の物理的圧力が加わった事実

  車VS車の衝突の場合には、30万円以上の物損というのが一つの目安となります

②症状の確認

  事故直後からの症状の出現(2カ月以内のMRI撮影)

③一貫した主張内容

  6カ月間の真面目な整形外科通院

④信用性

  紳士的、常識的で信憑性が感じられる療養態度

 

14級9号「局部に神経症状を残すもの」に該当する後遺障害では、上記の4つが重点的に審査されています。これらのポイントが達成できないと、後遺障害の認定は難しくなります。また、これに加えて画像所見等で異常が見受けられる場合には、12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」に該当することになります。

 

3)弁護士に依頼するメリット

専業主婦でも、弁護士が交渉すれば、14級で320万円、12級なら735万円が期待できます。これは、裁判で適用される地方裁判所支払基準で示談交渉を進めるからです。後遺障害を確実なモノにしたいとお考えの被害者は、できるだけ早期(受傷から2カ月以内)に、MRIのCDを持参して、ご相談ください。14級9号か、12級13号か、それとも非該当か、根拠を明らかにして納得できる説明をさせていただきます。

1-3 バレ・リュー症候群
  (及びその他の外傷性頚部症候群に付随する症状)

交感神経節(右側図の緑色の部分)が損傷したり過度に緊張することにより、バレ・リュー症候群を発症すると考えられています。 

バレ・リュー症候群とは、不眠が続き、その症状として頭痛が代表的です。重症例では、倦怠感、疲労感、熱感、脱力感、眩暈、耳鳴り、難聴、眼精疲労、流涙、視力調節障害、痺れ、肩凝り、背痛、腰痛、頭重感、動悸、息切れ、四肢冷感、食欲不振、胃重感、悪心、腹痛、下痢、便秘などの不定愁訴に、一気に襲われることがあります。

バレ・リュー症候群の諸症状は、麻酔科、ペインクリニックに通院、交感神経ブロック療法を続ければ、多くは、2カ月程度で改善が得られます。したがって、改善が得られるのですから、後遺障害の対象にはなりません。

頭部外傷Ⅱ型(荒木の分類。Ⅰ~Ⅳ型までありⅣ型が最も重症。)以上を原因とする頭痛は、後遺障害の対象ですが、バレ・リュー症候群であれば、対象から排除されています。

 

外傷性頚部症候群における後遺障害のポイント

1)バレ・リュー症候群では、後遺障害が認定されない

交感神経異常を原因とするバレ・リュー症候群の不定愁訴だけでは後遺障害の対象にはなりません。頭痛、眩暈、吐き気で苦しむ被害者の方は、整形外科以外にペインクリニックに通院し、交感神経ブロック療法などで症状の改善を目指すことになります。

 

2)「耳鳴り」は条件が揃えば、12級相当

①耳鳴りでは、耳鼻科におけるオージオグラム検査で30dB以上の難聴を伴い、ピッチマッチ、ラウドネスバランスの耳鳴り検査で、耳鳴りが他覚的に評価されたときは、12級相当が認められています。バレ・リュー症候群でも耳鳴りを感じることがありますが、難聴を伴うことはなく、交感神経節ブロック療法で改善が得られます。

 

②自覚症状の訴えと耳鼻科における検査

通院治療先が整形外科でも、事故直後から耳鳴りの自覚症状を訴えておかなければなりません。そして、早期に耳鼻科を受診、オージオグラム検査等を受けることが大切です。事故発生当初からの症状の訴えがなく、2、3カ月を経過してから、症状を訴えても、多くの場合に、事故との因果関係は否定されてしまいます。

 

3)排尿障害、嗅覚の脱失

近時、中心的な傷病名が外傷性頚部症候群であっても、排尿障害の症状があり、尿管カテーテルで強制導尿を実施している被害者の方に11級10号が、嗅覚の脱失で12級相当が認定されたケースがあります。前者では、ウロダイナミクス検査で尿道括約筋の異常を、後者では、T&Tオルファクトメータによる検査で嗅覚の脱失を立証しています。

事故直後から自覚症状の訴えがあり、それが症状固定まで継続していれば、原因は特定できなくとも、その自覚症状が、後から何らかの検査で客観的に評価されれば、損保料率機構調査事務所は後遺障害等級を認定しているのです。このように、事故直後からの自覚症状のできるだけ具体的な申告を行う、というのは極めて重要なものとなってきます。

したがって、少しでも、「いつもと違う」と感じることは、すべて医師にきちんと話し、カルテに記載してもらうようにしましょう。

後遺障害等級認定を確実なものにしたいとお考えの被害者の方は、できるだけ早期(受傷から2カ月以内)に、MRIのCD等を持参して、当事務所までお越しください。